「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳

公開日: 更新日:

クローン

 2005年の作品。1990年代末の英国が舞台で、語り手のキャシー・Hは現在31歳。11年以上も介護人を務め、彼女が介護した提供者の回復ぶりはみな期待以上だという。しかし「介護人」「提供者」とは何なのかは説明されることなく、話は彼女がかつて生活していた「ヘールシャム」という全寮制の施設での思い出へと移る。

 ヘールシャムには年少組から年長組まで各年齢の子どもたちが共同生活し、図画工作に力を入れた授業、健康診断が毎週行われる。実は彼らには生殖能力がなく親もいない。では、何のために彼らはいるのか。その背後には驚愕の真実が待ち受けていた――。

 英国で映画化され、日本でもTVドラマ化・舞台化されるなど注目を集めた。近未来の生殖医療の問題点を描いた、ノーベル賞作家による異色作。

(早川書房 800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」