「野球盲導犬チビの告白」井上ひさし著

公開日: 更新日:

 昭和54年のペナントレースで、入団1年目の横浜大洋ホエールズの田中一郎一塁手が、打率4割7分4厘をはじめ、数々の記録を塗り替える大活躍を見せる。雑種犬のチビは、ヒットを打った田中選手の走塁を案内する盲導犬である。そう、天才打者の田中は盲目なのだ。

 その年の春、チビは田中と出会った。前の飼い主の暴力に耐えかね家出したチビが空腹を抱えて市川市営球場の右翼席にうずくまっていると、打球がすぐそばに飛んできた。見ると、暗闇の中でバッターボックスの男が懐中電灯のわずかな光を頼りに投げられた剛速球を難なく打ち返していた。それが田中だった。

 チビの視線で田中との出会いからプロ野球入団、そしてその後の大活躍を描く巨匠による異色のスポーツ小説の復刻版。

(実業之日本社 1000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    永野芽郁は大河とラジオは先手を打つように辞退したが…今のところ「謹慎」の発表がない理由

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  2. 7

    威圧的指導に選手反発、脱走者まで…新体操強化本部長パワハラ指導の根源はロシア依存

  3. 8

    ガーシー氏“暴露”…元アイドルらが王族らに買われる闇オーディション「サウジ案件」を業界人語る

  4. 9

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  5. 10

    内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ