「アニーはどこにいった」C・J・チューダー著 中谷友紀子訳

公開日: 更新日:

 アーン・ヒルの町の学校にジョー・ソーンが赴任してきた。前任者のジュリアは息子を惨殺した上、「息子じゃない」という血文字を残して自殺したという。この町に育ったジョーにとっては、ここは忌まわしい記憶が残る土地でもある。そこへわざわざ戻ってきたのは、「妹に何があったか知っている。同じことが起きようとしている」という差出人不明のメールが届いたからだ。

 ジョーの妹アニーは8歳の時、行方不明になった。戻ってきた時には別人のようになっており、その後、死亡した。実は25年前、ジョーが友人たちと炭鉱跡の洞窟探検に出掛けたことがすべての始まりだった。

 前著「白墨人形」で内外のミステリーファンをうならせ、あのスティーブン・キングが推す著者の第2作。

 ジョーが戻ってきたことを疎ましく思う昔の仲間たち、ジョーを追いかけてきた借金取りの女など怪しげな人物が登場し、現在と並行して、ジョーの封印した過去が徐々に明かされていく。洞窟で見たものは何だったのか、アニーに起こったこととは一体――。

 恐怖とミステリー的な仕掛けで、ラストまで一気読み。

(文藝春秋 2250円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」