「マコクライシス」奥野修司著
婚約会見後に発覚した金銭トラブルを発端として、バッシングにさらされた眞子さんと小室圭氏。4年間の会えない期間を経て一時金を辞退した末に結婚しても逆風は続いており、なかなか収まる気配がない。
本書は、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作家で、「天皇の憂鬱」「美智子さまご出産秘話」などの著書を持つ著者による、眞子さんの結婚を契機に考察したこれからの皇室論だ。
なぜ眞子さんは自ら主導してまで小室氏との結婚にこだわり、世間はそれに反対したのか。著者は、皇室の女性が次々批判のターゲットとなった歴史を挙げながら、戦後「開かれた皇室」を目指した末に畏敬なき皇室のアイドル化現象が起きたことを指摘する。
皇族の結婚相手は、戦前は華族か皇族から選ばれ、戦後は旧藩主や新興財閥、大学教授や外交官の娘へと移行し、眞子さんの代で国民レベルになったことも批判に影響した。
今後、眞子さんに限らず、皇族は国民の人気という目に見えないものに翻弄されつつ存続できるのか。西ヨーロッパの皇室が次々と消えていったことを例に出し、日本の皇室の危機を訴えている。
(講談社 1540円)