「こうして絶滅種復活は現実になる」エリザベス・D・ジョーンズ著 野口正雄訳

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 絶滅した恐竜が復活する映画「ジュラシック・パーク」の大ヒットによって、世界中から注目を浴びた古代DNA研究。死んだ生物から劣化・損傷したDNAを抽出・分析する古代DNA研究という分野は、マスコミにとりあげられることで大衆の高い関心と期待を集めるセレブリティー科学として発展してきた。

 本書は、真実の追求と世間の過剰な期待による影響との間で、古代DNA研究がどのように進化史研究の一分野として発展してきたかに迫った書だ。

 研究初期には、恐竜を復活させる方法を書いた科学者や、琥珀(こはく)に保存されていた4000万年前の昆虫内部にハエの有機物を発見した昆虫学者と電子顕微鏡学者らが登場する。さらに古代ミイラからDNAを回収するアイデアを持った博士課程の学生や永久凍土に保存されていたマンモスから古代のタンパク質の証拠を発見した科学者が出現し、急激に恐竜復活への期待が高まった。大衆の期待は、助成金獲得などによって現実的な研究の後押しになる一方で、過剰な期待や誤解が生じて信用が失われる危険もある。

 マスコミと科学の分かちがたい関係について考えさせられる。

(原書房 3080円)

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