「藩邸差配役日日控」砂原浩太朗著
「藩邸差配役日日控」砂原浩太朗著
神宮寺藩7万石の江戸藩邸の差配役を務める里村五郎兵衛のもとに、世子の亀千代が行方不明だという知らせがきた。
10歳の亀千代はお忍びで上野の山に花見に出かけたのだが、10人の供が見え隠れについていったはずなのに。なぜか江戸家老の大久保は「むりに見つけずともよいぞ」と言う。
やがて弁天堂で亀千代の守り刀が見つかる。五郎兵衛は、皆が捜し回った後の弁天堂にいるのではと推測する。推測どおり、亀千代は弁天堂の裏で団子を食べていた。「そろそろ帰らねばと思っていたところだ」と。そのとき、近づいてくる人影が見えた。抜刀してこちらに走ってくる!
「何でも屋」の差配役を主人公にした時代小説5編。
(文藝春秋 1925円)