「早刷り岩次郎」山本一力著

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「早刷り岩次郎」山本一力著

 安政2(1855)年10月2日、江戸は大地震に襲われ壊滅。岩次郎が営んでいた版木彫りと摺りを請け負う老舗、釜田屋も抱えていた多くの職人や取引先を失う。おまけに妻子も一夜にして失った岩次郎は、失意の底に沈む。

 7カ月後、再び立ち上がった岩次郎は、新たな仕事を興すべく準備に取り掛かる。目をつけたのは瓦版だった。

 それも、起きたその日のうちに出来事のあらましを書いて刷る、その名も「早刷り」と名付けた瓦版だ。江戸中を歩き回って出来事を拾って歩く物書きなどさまざまな職人を集めたり、用紙の確保など着々と準備を進める。同じころ、本所の瓦版屋元締の初田屋は、岩次郎が新たな瓦版を創刊するらしいと耳にする。

 理想の瓦版作りに命を懸けた男を描く時代長編。

(朝日新聞出版 990円)


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