「昭和歌謡史」刑部芳則著
「昭和歌謡史」刑部芳則著
昭和時代が生み出した文化のひとつ「歌謡曲」の歴史を詳述した音楽本。
昭和以前から「はやり唄」は存在した。大正時代までのはやり唄は、演歌師と呼ばれる奏者が街角で歌って広め、その場で歌詞を書いた紙を販売。昭和初年にレコード産業が勃興すると、流行歌はレコードとして販売され、蓄音器や拡声器を通して普及した。その流行歌手の第1号が佐藤千夜子。最初のヒット曲は昭和3(1928)年に発売された「波浮の港」「鶯の夢」(作詞・野口雨情、作曲・中山晋平)で、10万枚(戦後の100万枚に相当)を超えた。
以降、昭和63(88)年の南野陽子「秋からも、そばにいて」(作詞・小倉めぐみ、作曲・伊藤玉城)までを紹介。
曲が生まれた背景や、その曲の時代における役割を解説する。
(中央公論新社 1155円)