「ひっくり返す人類学」奥野克巳著
「ひっくり返す人類学」奥野克巳著
人類学ではフィールドワークの際に、対象の土地の人々の暮らしに参加し、観察しながら記録と分析をする「参与観察」という手法を採用。
ボルネオ島の狩猟採集民プナンを研究する人類学者の著者のフィールドワークに、ある年、研究者ではない仲間3人が参加した。プナンの人々と行動を共にした3人は、日本での暮らしを見つめ直し、身についてしまった自らの「当たり前」をひっくり返そうと試みる。そうした「当たり前」すぎて気づかなかった日常をひっくり返すことこそがフィールドワークの効用だという。
本書は、プナンや、カナダのヘヤー・インディアンなどの民族誌を紹介しながら、「学校や教育」「貧富の格差や権力」など、現代が抱える問題について人類学の手法を駆使して考察するテキスト。 (筑摩書房 946円)