高倉健さん 私生活が“神秘のベール”に包まれていたワケ

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「昔は編集部に新人が入ってきたら“高倉健の散歩姿を撮ってこい”と言ったものです」

 こう語るのは週刊誌のベテラン編集者だ。

 映画俳優の高倉健(本名・小田剛一)さんが亡くなった。享年83。日本映画全盛期の1956年にデビュー。以来、50年以上にわたり、スクリーンを背負い続けた“最後の銀幕スター”だった。自らを「不器用」と称した健さん。そのプライベートは最後まで謎に包まれたままだった。

 71年に江利チエミさんと離婚後はずっと独身。自宅は世田谷区内にあったが、健さんのプライベートを知る人はごく親しい人間以外、ほとんど存在しない。それは「高倉健といえば、映画のスクリーンの中で見せる姿が彼のすべてといっても過言ではない。神秘のベールに包まれた映画界の巨星」(映画ジャーナリスト・大高宏雄氏)であることを自覚するがゆえの美意識も大きかったはずだ。

 もっとも、前出の編集者のエピソードのように、近所を歩く“散歩姿”すら見せないほど忍んで生活していたというわけではない。

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