「道にカネ落ちてないか探して」 芥川賞・又吉直樹の貧乏時代
NSCでは毎日のようにダメ出しされ、ふるいにかけられ、入学時に約400人いた同期で卒業したのは100人足らず。又吉は「酔っぱらったらネタを考えられない」と酒も我慢し、「死ぬ気」で芸を磨いたが、03年夏にコンビを組んでいた中学の同級生との関係がこじれ、解散という逆境に陥る。
「合コンとか、女の子とか、そういう、いわゆる芸人ノリというか、破天荒なところが僕と合わなくて……。そういうの、一切いらんねんて言ったのを覚えてます。23歳までに売れなければ(先は)ないと思っていたんで……」
時間が惜しくてバイトを辞めて、家賃を切り詰めた。間借りしていた吉祥寺のアパートは築60年以上の風呂なし6畳一間でエアコンもなし。夏は全裸になっても暑くて眠れなかったという。
このインタビューの際は家賃12万円、下北沢の1DKに住んでいたが、「月に番組30本に出ても、手取りは20万円程度」と話していた。
「カネだけが目的だったら、やってないですよ」
取材後、衣装から私服に着替えるとき、派手なトランクス型のパンツをはいていた。ヨレヨレだった。