「教育は生もの…」故・阿部進さんが本紙に語った“遺言”
「子供と話すと、言葉遣いや流行など今の環境がリアルに分かり、それをヒントに次の授業に生かしていく。教育は生ものだから、立ち止まってちゃいけないんですよ」
■「漫画害悪論」に手塚治虫と抗議
さて、1930(昭和5)年6月11日、東京に生まれた阿部さんは、19歳の時に川崎市内の小学校の代用教員になり、65年に退職するまで教員を続けた。その間、61年に著した「現代子ども気質」、62年の「現代っ子採点法」が話題となり、現職教諭の教育評論家として注目を浴びた。
「百科事典にも載ってる“現代っ子”という言葉。実はあれ、私が『現代っ子採点法』で“現代に強い子供”という意味で使ったのが最初なんです。“今風の子供”の意味で一般的になったのはご愛嬌ですね」
退職後は手塚治虫、寺山修司らと「現代子どもセンター」を設立。規制が強まりつつあった教育現場に次々と子供目線の提言を行い、高く評価された。
TBSラジオ系で放送され、子供たちに大人気だった「全国こども電話相談室」のレギュラー回答者として、故・永六輔、無着成恭らと加わったのもこのころ。以降は、モノ言う教育評論家としてテレビ、ラジオ、講演会と全国を駆け回った。ちなみに、愛称の“カバゴン”はあるテレビ番組の公募でネーミングされたのだそうだ。