元祖ビジュアル系 ジュリーの化粧に賛否両論が巻き起こる
駆け出し記者の頃、「青山に沢田研二がよく来る店がある」と教えてくれたのは建設会社に勤める友人だった。さっそく一緒に出かけた。よくあるパブだったが、当時は青山という街がステータスな時代。よくあるパブでも敷居が高く感じた。客層も違う。流行の最先端をゆくような業界人らしき人たちが集っていた。
何度か通っているうちに、本当に沢田と遭遇した。店の経営者らも交じり何人かで陽気に飲んでいた。すでにソロとして活動していたスーパースターの沢田もここでは普段着で店になじんでいた。言葉も関西弁(京都出身)。
沢田と気づいても騒がないのが青山のマナー。従業員に聞くと「経営者が京都時代からの親友」とのことで、沢田にとって仕事でたまったストレスを発散する場所になっていたようだ。
グループサウンズ時代はボーカルとして圧倒的な人気を誇った沢田。紆余曲折を経てソロに転身。アイシャドーやカラーコンタクトなどのメーク。セクシーな衣装で「ジュリーの世界」を演出。それを嫌みなく絵にしてしまうのが沢田の力量だった。今でこそ、ビジュアル系歌手に違和感はなくなっているが、当時は男が化粧することに批判的な意見も多く、沢田の化粧を巡り賛否両論。論争まで起こった。沢田のスタッフのひとりから聞いた話は印象的だった。