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一雫ライオン作家

1973年、東京都生まれ。明治大学政治経済学部2部中退。俳優活動を経て、35歳のときに演劇ユニット「東京深夜舞台」結成を機に脚本家に転身。主な脚本作品に、映画「TAP 完全なる飼育」「サブイボマスク」、東野圭吾原作「パラレルワールド・ラブストーリー」など。2017年に家族愛を描いた「ダー・天使」(集英社)で小説家デビューし、翌年「スノーマン」出版。最新作は幻冬舎から出版予定。

形容詞の危険性…安倍晋三「美しい国」とは何だったのか

公開日: 更新日:

 作家志望の青年に、「形容詞には気をつけな」とメッセージを送った。初めてそれらしきアドバイスを送ったかもしれない。講釈垂れられる物書きではないが、わたしが小説を書くとき唯一気をつけていることだ。それを間違ってしまった方は、安倍晋三前内閣総理大臣だと思う。

「おまえごときがなにを」とお叱りを受けそうだが、以前この連載コラムに書いたように、わたしは安倍さんが通っていた学校の後輩にあたる。といっても高校2年で素行不良により退学になっているので、正確には「途中まで後輩」なのだが。そのようなこともあって、やはり安倍さんは気になっていた。

 第1次政権。当時の安倍総理は声高らかに言った。

「美しい国、日本」と。

 これがすべてだと思う。国のリーダーとして、目指すべき道を「美しい」と表現するのは危うい。形容詞というのは便利だ。「たのしい」「おいしい」「かわいい」どれもそれっぽく相手に伝わる。が、実を伴わないと悲劇的な言葉だ。なにが、どう、美しいのか。安倍先輩の政治は、結局それが最後まで読者に伝わらずに終わった小説に思う。

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