著者のコラム一覧
コトブキツカサ映画パーソナリティー

1973年、静岡県生まれ。映画パーソナリティー&映画心理カウンセラー。有働由美子、マツコ・デラックスと同じナチュラルエイトに所属。ハリウッドのエピソードから心理まで多角的に作品を網羅。水道橋博士も信頼を寄せる映画専門家。

おぼん・こぼん様へ 映画「俺たちのラストステージ」を

公開日: 更新日:

 1965年に結成された漫才コンビ「おぼん・こぼん」の存在を僕が初めて知ったのは小学生の時に見た「お笑いスター誕生!!」でした。今でも現役なのは驚きですが、最近ではコンビの仲が修復不可能なレベルとなり、近い将来解散すると業界では噂されています。ちなみに先日放送されたテレビ番組では、おぼんさんが仕掛け人としてこぼんさんに解散ドッキリを仕掛け、こぼんさんが激怒してあわや放送事故寸前。ラジオ番組ではお互いの不満を口にして周りを凍りつかせていました。

 そんなおぼん・こぼんのお2人に処方したい映画は「僕たちのラストステージ」です。ハリウッドのサイレントからトーキーの時代にかけて人気を博した実在のお笑いコンビ「ローレル&ハーディ」の晩年を描いた作品です。

 お笑いコンビとして黄金時代を築いた2人が、制作サイドとの軋轢(あつれき)から独立した後にコンビ間でも問題が生じ、活動を休止してしまいます。しかしお互い1人で活動する中、次第に仕事が減り金銭的に苦しくなって再びコンビでツアーに向かうのです。劇中、ハーディは「今の苦労は俺のせいか?」とローレルに食ってかかり、ローレルはハーディに「こっちは必死にネタを書いてるんだ」と啖呵(たんか)を切ります。しかしこのコンビでしか乗り越えられない壁があり、2人でしか見られない景色がある。晩年ハーディは「僕は君との仕事に対して何ひとつ後悔していないよ」とローレルに語りかけます。2人はいったん距離を置いたことでお互いの大事さに気づいたのです。

 コンビを55年も続ければ不満も募るでしょうが、本作を見てローレル&ハーディのように相方にこまやかな感謝を思い出していただけたらと思います。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動