故・島田陽子さんは不器用な人だった…「国際派女優」として唯一無二の存在に
島田は国際派女優という唯一無二の存在になった。出る作品によっては「さすがは国際女優」と言われることもあれば、逆に「国際派と呼ばれた人がこんな作品に」と揶揄(やゆ)されることもある。ある種のプレッシャーのなかで女優を続けた島田だったが、国内でも確かな実績を残した。
「主役よりもキーパーソンになる脇役で存在感を出せる女優でした。ただ、サスペンスや社会派など起用する作品は限られていた」(演劇関係者)
実際、市川崑監督の「犬神家の一族」や野村芳太郎監督の「砂の器」で演じた島田は存在感を十分に示し、「国際派の看板はダテではない」と観客をうならせた。大河ドラマ「黄金の日日」で演じた細川ガラシャで見せた美しさも島田ならではの魅力があった。ドラマ「華麗なる一族」の銀行頭取の次女も「本当にいそう」と茶の間を沸かせたものだ。
映画やドラマも時代と共に作品も出演者も新陳代謝が起こる。「昭和の俳優はついていけなくなる。古くさいといわれるだけ」という風潮になっても、昭和の俳優は頑固に生き方を変えない。島田も例外ではなく、自然に仕事は絞られていた。ドラマ関係者は、「国際派にこだわらず肩の力を抜けば、ホームドラマやコメディーでも島田らしさを出せたのではないかと思う。朝ドラで主人公の母親役なんかもできたと思う」と惜しむ。