(10)高齢者は「わからない・教えて・ごめんなさい」を忘れない
「高齢者が“こだわり”に縛られるのは、“心が硬い”ということなんじゃないかって前回話しましたけれど、“心が硬い”っていわれても、わかりにくいかもしれませんね。一般的な言い方をすれば、心の柔軟性が失われているってことかな。柔軟性がなくなると、新しいことへの関心とか、トライしてみようという意欲も衰えてくる。別に新しいことなんかはじめなくても、『これまで通りで困らない』って考えてしまう。たしかに困らないかもしれないけれど、これじゃ生きていても、ちょっとつまらないですよね。残された時間はそんなにないんだから……」
エンターテイナーとして、自身の年齢に応じて、クラシックバレエ、ジャズダンス、タップダンスといったさまざまなジャンルのダンスに挑戦しつづけてきた中尾さん。そればかりか、水泳、ジムや公園でのエクササイズはもちろん、水彩画、フラワーアレンジメント、俳句、書道と、意欲的なトライの連続だ。
「自分の心のアンテナがビビッと反応したら、基本的にはまずトライしてみることですよ。やれるかどうかなんて考えていたってしょうがないし、第一やってみなきゃわからない。なんだってそうでしょ。これまでの経験値じゃ測れないことやわからないことはたくさんある。心が動いても、とても無理とか、自信がないなんて考えて、自分の興味とか能力を“ここまで”って見限ってしまったら、そこでおしまいでしょ。自分の可能性を信じてあげなくちゃ」