ウエストランドは「10:0」のバランスで成り立っている不思議なコンビ
しかし、そこからブレークすることはできず、しばらくはライブ中心の活動が続いた。芸人としての収入が少なかった時期には、河本は妻子に逃げられ、リフォーム会社に就職して固定収入を得ていたこともあった。井口も家賃滞納でアパートの大家に心配され、近所の炊き出しの情報を教えられたりもした。
そんな彼らは、20年に「M-1」の決勝に進んだことで復活のきっかけをつかんだ。このときには敗退したものの、その後もネタを磨き続けて、2年後に優勝を果たした。
長年くすぶり続ける中で井口の愚痴が徐々に熟成され、新たなウマミが出てきた。それが22年の段階でちょうど仕上がり切っていたことが彼らの勝因だ。
すでに井口のワンマンコンビという印象があり、テレビ出演の機会も井口の方が圧倒的に多い。しかし、相方の河本は何もできないポンコツキャラとして知られ、井口の横にいるだけで彼の怒りを買い、愚痴を誘発させる触媒として存在価値がある。ウエストランドは「10:0」のバランスで成り立っている不思議なコンビなのだ。