苦しまないという意味では致死性不整脈が“理想的”かも
■“無駄”な延命治療は選択しない
人口1300人足らずの無医村で生まれた私の父親と母親は、どちらも小学生時代に相次いで両親を失っています。つらい思いもしたと言いますが、息子である私を育てて医師にしてくれました。そんな両親のおかげで、私は自然と小学生時代から「自分を可愛がってくれた故郷の人たちを助けられるような医師になる」という覚悟を持ち続けることができました。
そして、曽祖母が事あるごとに口にしていた「おまえは長男なんだから、必ずここへ戻ってきて、みんなを治してあげるんだよ」という言葉を守り、故郷でクリニックを開業することもできました。
これまで、若くして亡くなった患者さんをたくさんみとっていますが、ほとんどの方は「残す子供が心配だ」と漏らします。そんなとき、私自身の経験をお話しすると安心してもらえるようです。
「どう生きたか」が大切だと考えると、延命治療についても思うところがあります。一般的に、切除不能なステージⅣのがん患者さんには、抗がん剤治療が行われます。仮に私がそうだった場合でも、まずは、近年続々と登場している副作用が少なく治療効果が高い抗がん剤による治療を行うでしょう。