原因は「人生」と「生活」 認知症の問題行動は抑えられる
「認知症ケアで一番大切なのは排泄ケア。問題行動の半分は不十分な排泄ケアが直接のきっかけになっています」
認知症になると、赤ちゃんの行動原理である「快・不快の原則」が目立ってくる。つまり、これまでは「不快でも我慢しよう」とされていたようなことが、「不快だから何とかしよう」に変わる。
年を重ねると、内臓機能の衰え、活動量の低下などで便秘になりやすい。便秘が続くと、当然ながら、不快感が増す。オムツをつけている人では、オムツに便がたまると、やはり不快だ。
「快・不快の原則でいけば、便秘で苦しければ、それをなんとかしようとする。赤ちゃんならオムツに手が届かないが、老人は手が届くので、オムツにたまった自分の便を取り出し、あちこちになすりつけてしまう」
便を食べる異食についても、赤ちゃんが視野にあるものになんでも興味を示して口に近づける(口唇時期)のと同様、取り出した便に関心を持ち、口に近づける。
「弄便や異食が起こっても、まずは落ち着く。その原因が不十分な排泄ケアにあるなら、それを改善し、“快”の状態に持っていけば、弄便や異食も起こらなくなる」
「かいご楽快」に参加していた介護従事者に聞くと、三好氏の言葉通り、「原因を探り、自分の接し方を変えれば、問題行動が収まった」との回答が多かった。
問題行動を嘆く前に、やることはたくさんある。