原因は「人生」と「生活」 認知症の問題行動は抑えられる
先日、兵庫県西宮市で認知症介護に関わるさまざまな人が集まる「かいご楽快」が開かれた。その中で注目を集めたのが、認知症の「問題行動」だ。
認知症で家族が苦しむことのひとつに「周辺症状」がある。これは「問題行動」とも呼ばれ、目的なく歩き回る「徘徊」、便を触る「弄便」、便など本来は食べないものを食べる「異食」、暴言、暴力などがある。
介護者が、介護している親や配偶者を殺害する「介護殺人」の報道でも、「問題行動に追い詰められて」といった話がよく出てくる。
しかし、「生活とリハビリ研究所」代表で、認知症や介護の正しい情報を発信し続ける三好春樹氏(理学療法士)は、「問題症状は抑えられる。それだけで、『認知症介護は悲惨、地獄』とするのは間違い」と指摘する。問題行動はすべて認知症のせいにされがちだが、たとえば介護施設では、その日の担当者によって問題行動が出たり出なかったりするという。
「つまり、担当者の対応に問題があるか、相性が合わないか。問題行動の原因の9割は、『問題介護』だと考えています。問題行動は、『問題介護に伴う老人の問題心理』と捉えるべき」