冬場の入浴は突然死のリスクに注意
一年のうちでもとくに寒いこの時期、お風呂でゆっくり浴槽につかりたいという人も多いでしょう。
入浴で、その日の疲れを取れば、何よりもリラックスできます。
しかし、その一方で入浴中の健康被害に関する報告も多々あります。その中でも衝撃的なのは「突然死」でしょう。浴室と室内の温度差による体への悪影響と考えられていますが、実は入浴中の突然死について、そのメカニズムはあまりよく分かっていません。
そんな中、「日本疫学会誌」(2015年2月号)に、東京都監察医務院で検案を行った入浴中の死亡例(3289人)を解析した論文が掲載されています。
この研究によると、入浴中の突然死の多くは60歳以上の高齢者であり、発生時期は冬場に多いことが明らかとなっています。
また発生場所の多くは自宅浴室(94・3%)であり、公衆浴場(3・0%)、ホテル(1・6%)と続きます。突然死を起こした人の半数以上が心臓病を有していました。
さらに、突然死を起こした人の79・1%で溺水の兆候が認められました。溺水とは気道内に液体が入り、気道が閉塞することによる窒息の一種です。ちなみに溺水による死亡のことを溺死と呼びます。そして、溺水兆候のあった人は、溺水兆候のなかった人に比べて統計学的にも有意に血中のアルコール濃度が高いことが示されました。
これらの結果を整理すると、入浴中の突然死に注意したいのは、高齢者で心臓病を治療中の人であり、特に冬場において飲酒した状態で入浴することはかなり危険といえそうです。このような状況下では、入浴中の体調変化に十分注意する必要があります。