糖尿病の下肢切断を回避 注目の「PRP療法」を詳しく知る
血糖コントロールが悪い糖尿病は、足の皮膚の潰瘍を再発しやすく、7~20%が下肢切断になる。これを避ける治療として注目を集めているのが、PRP(多血小板血漿)療法だ。
下肢切断は生命予後が悪い。術後の死亡率は、1年で約30%、3年で50%、5年で70%といわれている。
「いかに切断を回避するかが重要。PRP療法がとても良い治療成績を出しています」と言うのは、聖マリアンナ医科大学病院形成外科学の相原正記病院教授らだ。
皮膚潰瘍の治療は通常、「軟膏→皮膚潰瘍の治療薬トラフェルミン(商品名フィブラストスプレー)あるいは陰圧閉鎖療法→皮膚の移植」と進む。軟膏は軽症の皮膚潰瘍に対する治療で、糖尿病による皮膚潰瘍ではトラフェルミンや陰圧閉鎖療法を試みる。
トラフェルミンは、細胞増殖因子(bFGF)が細胞に作用して、肉芽形成、血管新生、上皮化を促進する。陰圧閉鎖療法は、潰瘍部分を専用素材で覆って陰圧に保ち、治癒を促す治療法だ。
皮膚の移植は患者の全身状態の悪さから行えないことも多く、トラフェルミンや陰圧閉鎖療法でうまくいかない場合、多くは下肢切断しか手がなかった。