選択と集中…東京・多摩地区の総合病院の「静かな戦い」
武蔵野赤十字は2010年には、消化器でトップに立っていました。しかし、2015年までに100件以上も減らしています。それに対して他の3病院はいずれも700件前後も増やしました。ただ、循環器では武蔵野赤十字が大きく伸ばしており、ライバルたちを引き離しつつあります。カテーテルを使った治療を得意としています。また乳房では多摩総合が2倍以上の躍進を見せて、杏林からトップを奪取しました。とくに部分切除の件数では、東京都の4位に食い込む健闘を見せています。
もっとも特徴的なのは眼科です。目の手術の代表は白内障の眼内レンズ挿入術。硝子体手術も増えています。糖尿病の合併症である黄斑症や増殖性網膜症の治療として行われます。
杏林は以前から眼科が強かったのですが、平成11年に「アイセンター」を設置し、独走態勢を固めることに成功しました。比較的もうかる分野であるため、慈恵会第三病院も追随しています。その点、やはり民間病院のほうが動きが機敏です。一方、武蔵野赤十字は件数を大幅に減らしており、眼科手術からは事実上撤退しつつあるようです。
病院といえども商売。周囲との競争により、絶えず変化しているわけです。