精巣がん<2>「全身に転移しています」摘出後に衝撃の告知
頭髪は脱毛し、枕元に洗面器を常備しながら、体をくの字に折り曲げて吐き続けた。もちろん、食べ物も喉を通らない。
■「看護婦の服装はまるで原発作業員」
大久保さんが目を見張ったのは、抗がん剤の点滴を取り換えるとき、病室を訪ねて来る看護師の服装だった。
「まるで原発・原子炉近辺で作業する作業員のようなゴーグルの防護服でした。もし医療ミスでも起こし、抗がん剤が皮膚に付着したら予想外の事故が想定されたのでしょう。それほど強度な抗がん剤が挿入されました」
1クール(21日間)を3回、入退院を繰り返しながら、期間は3カ月にわたった。やがて、苦しい3クールの化学治療法が終了し、8月に入って2度目の手術を受けることになる。リンパ節をはぎ取る手術だった。
3人の担当医師と、5人の看護師が付き、手術時間は丸1日、15時間にも及ぶ。大久保さんの体に、10本の管が通された。そのうちの4本は、ポンプで背中から挿入される麻酔である。