精巣がん<4>外資系証券会社を辞めてNPO法人を立ち上げた
2017年、がん患者羅患者数予測は101万4000人、死亡者予測数が37万8000人(国立がん研究センター)である。こうしたがん患者やその家族に「希望、癒やし、情報」を発信したいと熱く語る大久保さんの背中を押したのは、同僚だった。
「ゴールドマンの社員時代、乳がんを告知された同僚女性が『米国では、医師が患者にがん経験者を紹介したり、民間団体がウェブサイト上で患者同士をつなぐサービスをしている』と言うのです」
その代表例が、米国のがん患者を支援する「ペーシェンツ・ライク・ミー」(私と同じような患者たち)だった。ウェブサイトで患者をつなぐ巨大組織だ。
日本にもこのような組織を築きたいと考えた大久保さんは、「5years」を基盤にして単独で活動を開始。ホームページなどでがん患者とその家族に呼びかけ、現在では登録者数が4000人に迫る勢いだ。
ボランティアスタッフの協力も得て、国内では最大級のがん患者支援組織になってきた。シカゴ大学院で経営学修士を取得しており、米国の医学書も原書で読みこなす。大学の医学部研究室に籍を置き、医学の知識も半端ではない。