写真家・加納典明さんは手術4度 恐怖より興味で前向きに
病気は捉え方ひとつ。自分にとって病気は「事」でしかない。「不安」とか「迷惑かけるな」といった情緒を持ち込まない。正確な判断がすべてで、「これが事実だ」と線を引く。生きていれば、常に死とは隣り合わせ。怖がってばかりいたんじゃ生きていることにならない。「病気も生きていることそのものだ」という捉え方をする。
「知るのが怖いから健診に行かない」なんて、オレに言わせれば生きていないのと同じ。病気を恐れたり落胆したりするのは、人間として幼いんじゃないかな。ケガも病気もひっくるめて、事実を事実として受け止め、前向きに対処する「プロの人間になれ」と言いたい。
そんなオレが長く苦しめられたのは、実のところ「花粉症」なんだよ。最近、2年間の舌下免疫療法で見事に完治できた。あのツラさは人の営み、つまりは生産性に非常に影響するから、花粉症患者を減らしたら日本経済はもっと活性化するはずだ。国は日常の何が肝心かを知るべし、本当に。
▽かのう・てんめい 1942年、愛知県生まれ。19歳で上京し、広告写真家・杵島隆氏に師事する。その後、フリーの写真家として広告を中心に活躍。グラビア撮影では過激ヌードの巨匠として脚光を浴び、タレント活動やムツゴロウ王国への移住など多彩なパフォーマンスでも話題に。現在も、社会に鋭い目を向けた作品を撮り続けている。