糖尿病は増えていない 増えたのは「強く疑われる者」
「糖尿病が強く疑われる者」と「糖尿病を否定できない者」の合計は減少傾向であるものの、前者は増加傾向であり、糖尿病は増えている可能性がある――。これが前回紹介したデータです。
そこで「糖尿病が強く疑われる者」のうち、すでに糖尿病の治療を受けている人の割合を見てみましょう。平成9年の調査では45%であったものがその後増加し、19年では55.7%、28年では76.6%が治療を受けているという結果です。
つまり、同じ「糖尿病が強く疑われる者」といっても、平成19年と28年ではその中身が大きく違っていることがわかります。前者ではHbA1cの値で「糖尿病が強く疑われる者」とされたのが半分近くあったのに対し、後者では4分の1以下にすぎないというわけです。
ここ10年ほどの間に多くの血糖降下薬が開発され、軽症の糖尿病患者にも広く処方されるようになった現状があります。そこを考慮してデータを改めて見てみると、「糖尿病を否定できない者」が減少し、「糖尿病が強く疑われる者」が増加し、総数はやや減少しているという意味は、軽症の「糖尿病を否定できない者」に糖尿病の治療が早めになされた結果、以前「糖尿病を否定できない者」に分類されていたものが、「糖尿病が強く疑われる者」へと移動しただけで、糖尿病全体としては、減少傾向にあるといっていいのかもしれません。