風邪に抗生物質NGは大きな間違い 必要な人の2つの条件
抗菌薬が必要な患者として挙げるのは、①50歳以上②昨年または一昨年に風邪症状(特に咳・痰)をこじらせた――の2つに該当する人だ。
「重要になるのが問診です。私が必ず質問するのが、過去の症状。中高年や肺の基礎疾患を持っている人は、感冒から、しばしば気管支炎や肺炎に移行します。これは臨床現場でよく経験することです。過去に感冒から気管支炎や肺炎などに移行したことがある患者は、今回も同じことを起こす確率が高い。その場合は、最初から抗菌薬を短期間投与するのです」
抗菌薬を処方する前に、胸部エックス線写真などで肺炎の有無を調べれば……との声もあるだろう。しかし、風邪症状で受診した中高年の患者すべてに対し、胸部エックス線写真を撮ることは現実的ではない。だから、過去の病歴が重要なのだ。読者の中で過去にそのような経験のある人は、受診時、医師に申告した方がいい。
さらに、高齢の患者では肺に何らかの基礎疾患を持っている人が多いが、患者は必ずしも自覚していない。COPDや気管支拡張症などと診断され、通院している人以外にも、隠れた基礎疾患を持っており、それを知らない人はたくさんいる。