「突然、黒い幕が下りて…」一過性黒内障は脳梗塞の前兆
一過性黒内障が考えられれば、脳外科での画像検査と頚部と心臓のドップラー検査を早急に行う必要があります。私は近くの総合病院の脳外科の先生とあらかじめ打ち合わせておき、即時に電話予約をして「一過性黒内障の患者さんです。脳画像診断と頚動脈ドップラー、心電図、心臓エコー検査を含めた総合的な検査をお願いします」と連絡をするようにしています。
検査の結果、まれですが、頚部のアテロームではなく、心臓の中にある良性腫瘍が見つかったりすることもあり、そのようなケースでは、間に合って良かったと思います。
脳梗塞が脳の後ろの部分に起きれば、視野の欠損は脳病変の反対側の両眼視野欠損として表れます。眼科を訪れるのは、視野欠損発症後、数日経ってからということも少なくありませんが、まれに1時間前に起こったという場合もあります。しかし、これはたまたま運が良かっただけで、いつ脳梗塞が発症していてもおかしくない状態です。
最近の脳梗塞に対する脳外科での治療は数時間を争うものとなっています。救急搬送して血栓溶解薬のt―PA(プラスミノーゲン・アクチベータ)を使った治療が適切に行われれば、脳梗塞による半盲も直後に消失することもあるのです。一過性黒内障が疑われる症状が出たら、すぐに眼科もしくは脳神経外科で診てもらうことです。
(つづく)