広がる治療の選択肢「潰瘍性大腸炎」で知っておくべきこと
「しかし1年かけてステロイドを減量した結果、半分はやめられませんでした。ステロイドは骨粗しょう症、肥満、血圧上昇、緑内障、ムーンフェースなど副作用が多い。ヨーロッパでは“維持療法のゴールはステロイドフリー寛解(炎症を抑え、潰瘍性大腸炎の症状がない)”としている。一方、日本では『(ステロイドを)一生飲むんですよ』と処方されている患者さんもいる」
潰瘍性大腸炎の治療には薬の服用のほか、大腸を手術で全摘する方法もある。ただし伊藤医師は、75歳以上は命に関わる危険があること、術後10年経っても年齢によっては便失禁や夜間に便を漏らす率が高くなること、女性不妊のリスクが上昇することなどの理由から、勧めてはいない。
「生物学的製剤がいくつも出ている今、これらを使った内科的治療をしっかりとやり、手術を回避する必要があります」
現在は、バイオシミラー(ジェネリックのような位置付けの薬)も登場し、薬価を抑えることも可能。簡単に口から飲め、注射薬と同等の効果を得られる薬も出ている。治療選択肢が広がったことの恩恵を十分に受けるべきなのだ。