がん手術を受ける前に 患者が知っておくべき「5つの事実」
■手術前の歯磨きで合併症リスクが3分の1に
歯磨きと手術の合併症は一見無関係に思えるが、事実は違う。口腔内の細菌の増殖が肺炎や傷口の化膿といった感染症による合併症を引き起こすことがわかっている。
切除術を予定している食道がん患者45人を手術の1週間以上前から1日5回歯磨きを行うよう指導した群としなかった群とを比較したところ、術後の肺炎は前者が9%に対して後者は32%だった。
「手術前に口腔ケアを指導してもらえない病院なら自分で歯科医院に行き、専門的な口腔ケアを受けた方がいいかもしれません」
■手術前の喫煙は術後の合併症を2倍に増やす
さすがに肺がん手術前に喫煙する人はいないだろうが、その他のがん患者の中には「少しくらいならいいだろう」と思う人もいるかもしれない。しかし、消化器がん手術でも、喫煙が術後合併症や死亡率を増加させる要因だと報告されている。
「胃がん患者1335人を対象に手術前の喫煙の有無と術後合併症の発症率との関係を調べた研究があります。それによると喫煙者の術後合併症発症率が12・3%に対して非喫煙者のそれは5・2%と低かった。また、合併症の重篤度も喫煙者の方が高く、大腸がん手術では喫煙者の方が肺への転移リスクが高いと報告されています」