【野沢菜漬け】植物性乳酸菌とビタミンB1で整腸と疲労回復
長寿を生む乳酸菌、食物繊維、ビタミンA、C、控えめな塩分
マヨネーズの賞味期限をご存じですか。常温でも、プラスチックチューブ入りなら10カ月程度、ガラス瓶入りなら1年程度。生卵を主要な原料としているのになぜこんなに長持ちするのか。普通の生卵だったら確実に数日以内に腐ってしまう。その秘密はマヨネーズは酸性(すっぱい)だからである。酸性環境では普通の雑菌は生育することができない。だから長持ちする。
しかし、酸性でも生育できるよい菌がいる。それが乳酸菌だ。野菜をお漬物に変えてくれるのが乳酸菌。そして消化管内で腸内環境を整えてくれるのも乳酸菌である。牛乳をヨーグルトに変えてくれるのも乳酸菌(ちなみにマヨネーズは酢と油を混ぜてつくる加工食品で乳酸菌発酵ではない)。
長野県は長寿日本一(2015年のデータでは女性が1位、男性は2位)。その秘密は野沢菜にありとの説がある。長野県人は三度のご飯の時だけでなく、おやつにもお茶と野沢菜をいただく。乳酸菌と食物繊維、そして本来、野沢菜に含まれるビタミンAやCのおかげということ。漬物としての野沢菜は塩分控えめで爽やかな味。この点も優れた健康食といえる。
▽福岡伸一(ふくおか・しんいち) 1956年東京生まれ。京大卒。米ハーバード大医学部博士研究員、京大助教授などを経て青学大教授・米ロックフェラー大客員教授。「動的平衡」「芸術と科学のあいだ」「フェルメール 光の王国 」をはじめ著書多数。80万部を超えるベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」は、朝日新聞が識者に実施したアンケート「平成の30冊」にも選ばれた。
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