アルツハイマー病が“脳の糖尿病”と言われるのはなぜなのか

公開日: 更新日:

 たとえば予備群を含めた中期までの糖尿病患者には、インスリン量は足りているのに機能が十分果たせなくなる人が多い。これを「インスリン抵抗性」と呼ぶ。これが2型糖尿病や脂肪肝などだけでなく、AD発症の一因となる。

「その理由は、インスリンのシグナル伝達は脳内の神経前駆細胞増殖や神経生存を助ける働きがあり、慢性的な高インスリン下ではシグナルが鈍化するからです。インスリン抵抗性は高血圧を招き、動脈硬化の進行を速め脳血管障害になりやすい。結果、脳血管性認知症リスクを高めます。この病気はADと合併しやすいことが知られています」

 インスリンは自身の仕事を終えると、インスリン分解酵素(IDE)により分解される。IDEはAD発症に関わるアミロイドβ(Aβ)の分解も担当しているため、慢性的な高インスリン下ではインスリン分解で手いっぱいとなってAβを分解する余裕がなくなり、AD発症リスクが高くなる。

■高血糖が全身に慢性炎症を作り出す

「血糖が高いことはそれ以上に問題です。血液を流れる糖分は多くの異なるタンパク質にくっついて終末糖化産物(AGE)という毒性の強い物質に変わり、さまざまなタンパク質の機能を妨げるからです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末