統合失調症だから抗がん剤治療をしないという選択はない
Cさん(50歳・女性)は、2カ月ほど前から「宇宙人の声が聞こえる。私を非難している」と訴え始めました。時に興奮することもあり、家族が心配して近くのメンタルクリニックに連れて行ったところ、統合失調症と診断されました。すぐに内服薬を飲み始めたのですが、病状が好転しなかったこともあり、F総合病院の精神科に入院することになりました。
それから1カ月後、統合失調症の症状は安定してきました。しかし、腹痛と肝機能検査で異常値があり、消化器科で検査したところ、膵臓がんで肝臓転移が見つかったのです。
Cさんは消化器科病棟に転棟することになりました。担当のA医師はがんの告知によるショックを考慮し、Cさんには病名を告げないことを選択。手術は無理だったため、家族の同意を得て抗がん剤治療を行うことにしました。3剤の抗がん剤を併用する治療法でしたが副作用は少なく、難なく2コースを終了。その後、腹痛もなくなり、退院して自宅からF総合病院の外来通院治療センターで治療を継続することになりました。
ある日、病院内のスタッフカンファレンスで、ある医師からこんな発言がありました。