あなたらしく生きる…余命3カ月を告げられて気づいた思い
妻「医者は余命を短く言いたがるって聞いたけど、こんなに元気なお父さんがあと3カ月ってありえないよ」
娘「私の会社の上司は、あと6カ月の命だって言われてからもう6年になるって聞いたわ。今も元気よ!」
◇ ◇ ◇
妻も娘もあっけらかんとしていたので、Aさんはむしろ助かった気がしました。
娘から「セカンドオピニオンを受けるのはどう? 他の病院で、もう治療法がないのか聞いてみるのよ。B先生に経過を書いてもらって、他のがんの専門病院に行ってみたら?」と提案され、「そうだな、そうするか」と決心しました。
さらに、Aさんはベッドに入ってから考えました。
セカンドオピニオンをお願いすることには決めたが、B医師が言った「あなたらしく生きる」とは何なのか? もし、がんになっていなかったら何をしたかったのだろう?旅行か? たしかに旅行は好きだが……。
そういえば思い出した。若い独身時代、ちょうど旅行の直前に失恋し、旅先で遊覧船の美しい景色を見ても、「彼女のいない旅行なんて意味がない」と思ったな。仕事で失敗した時、社長から勧められて家族旅行に行った時も、まったく景色が目に入らず、頭は失敗のことしか考えていなかった。