乳がん<6>「腋窩リンパ節郭清」の扱いが15年前と違ってきた
乳がんは原発巣から最寄りのリンパ節(センチネルリンパ節)へ、さらに腋窩リンパ節(脇の下のリンパ節)へと転移を広げていきます。
術前の所見で、リンパ節転移がないと診断された患者に対しては、手術中に必ず「センチネルリンパ節生検」(病理診断)が行われます。その結果によって、腋窩リンパ節郭清を行うかどうかを判断するわけです。
診療ガイドラインの初版(2005年)には「転移陰性を判断された場合に(腋窩リンパ節の)郭清を省略するだけの根拠はある」という微妙な表現になっていました。それが最新版(2018年)では「省略することが標準治療である」と言い切っています。ですからいまの患者で、センチネルリンパ節転移が陰性だった患者には、腋窩リンパ節郭清は原則として行われません。
しかし術前の画像診断や触診や、術中の検査などで、明らかな腋窩リンパ節転移があると判定された患者は、言うまでもなく郭清の対象者です。その郭清の範囲ですが、初版のガイドライン(2005年)ではレベルⅢまでとされていました。