「免疫グロブリン製剤」は抗体そのものを薬にする
ウイルス感染症の治療で用いられている薬には、抗ウイルス薬以外に「免疫グロブリン製剤」というものがあります。
最近、新型コロナウイルスの治療薬やワクチン開発に関するニュースで、「感染歴がある患者の血液からつくる薬」が取り上げられていますが、これが免疫グロブリン製剤です。
免疫グロブリン製剤は、抗体そのものを薬にしたものです。ワクチンは抗原を体に入れることで、体の中で抗体を作るのを促すのに対し、免疫グロブリン製剤は感染歴のある人の血液から抗体=免疫グロブリンを取り出し、製剤化したものです。
免疫グロブリンはヒトの免疫の中で大きな役割を担っています。主に血液の液体部分である血漿中や母乳中などに存在しています。免疫グロブリン製剤は人の血漿から免疫グロブリンのみを分離・精製して医薬品にします。人の血液を原料としているため、ウイルスなどの感染性物質が混入するリスクを完全に取り去ることはできません。しかしだからこそ、一般的な薬で行われる安全性確保に加え、さまざまな対策がされた上で製剤化されています。