子供の眼の位置がずれていて…斜視は手術すべきでしょうか
また、整形外科や小児科から「斜頚」で診察した子供を預かることもあります。子供が普段から首をかしげていたのは視点を合わせるためで、よく見たら斜視だったというケースもあります。
先天性であれば、ほぼ全員に手術を受けてもらっています。先述した通り、脳腫瘍などで脳の神経が異常をきたし、筋肉が機能していなかったり、両目に白内障があって視力が発達していないこともあります。
後天性の場合は、遠視用の眼鏡(プリズム眼鏡)をかけて矯正する治療から始めます。
片目が正常なら、自宅では見えている方の目を眼帯で隠し、遠視のある目でモノを見る訓練もしてもらいます。赤ちゃんの視力の調節力は大人の7倍ともいわれますから、治療や訓練を早く始めれば、手術なしで回復が見込めます。
ただし、眼鏡をかけてから3カ月以上経っても、眼位にズレが残っていれば「部分調節性内斜視」である可能性があります。その場合、治療や訓練を続けながら、手術をすることになります。
手術は難しいものではなく、眼科の専門医や大学病院で行えば失明などのリスクはありません。ただ、6歳以下の手術は全身麻酔になるので、4日ほどの入院は必要です。次回は手術と術後のケアについて詳しくお話しします。さまざまな医療現場で活躍するスーパードクターたちが出演の公式YouTubeチャンネル「SuperDoctors -名医のいる相談室-」でも解説します。
▽妹尾正(せのお・ただし) 1986年3月独協医科大学医学部卒業。90年7月厚生連石橋病院眼科医長、91年6月日本眼科学会認定眼科専門医に。2002年7月独協医科大学眼科学教室助教授、06年4月から同大眼科学教室教授を務める。