AIとビッグデータは「目」の診断治療をどう変えるのか?
「IDx―DRは眼底画像から糖尿病網膜症を即座に検出する医療機器です。それまでも医療用AIは医師支援ツールとして実用化されてきましたが、あくまでもAIが提供する医療情報を参考にしながら最終決定は医師が行うものでした。ところが、IDx―DRは眼底写真用の特殊なカメラで撮影された患者さんの眼底写真を自動解析して糖尿病網膜症の有無や進行期を診断するのです」
ただし、IDx―DRの正解率は90%そこそこで決して優秀とはいえなかった。にもかかわらずFDAが医療機器として認めたのは、米国では糖尿病患者が多い割に眼科医の数が少ないからだ。そのため米国では患者自身も気づかないうちに糖尿病網膜症になる人が多いという事情がある。
「そのため、この医療機器は内科や健診クリニック向けに販売され、糖尿病網膜症の患者さんをいち早く発見するための1次スクリーニング用の医療機器として期待されたのです」
2020年8月にFDAから認可を得た2機種目となるEyeArtは眼底カメラ撮影の特別な練習を受けたことのない検査員が撮影した眼底映像の97%を読影でき、判定の正解率は96%だという。本格的なAIドクターの誕生だ。