AIとビッグデータは「目」の診断治療をどう変えるのか?
緑内障の治療には進行の速さを評価し、それに応じて治療する必要がある。だが、視野検査回数が少ないと正確な評価ができない。
「そこで緑内障視野障害の空間や時系列パターンを学習させた視野モデルを作り、検査中の患者さんの応答に合わせてそれを更新することで、視野検査の回数を減らし、精度の高い視野予測ができるようになったのです」
AIは白内障手術で使われる眼内レンズの度数計算にも使われている。
「今後は手術後の眼圧を予測するAIなども出てくる可能性があります。また、研究レベルではビッグデータとAIを使った研究は進んでいます。例えば、2018年2月にグーグルから報告された論文ではAIに2・8万人の眼底写真を学習させたところ、年齢、性別、血圧、5年以内の心血管イベント(脳卒中、心筋梗塞など)をかなり正確に言い当てたことなどが示されました。AIが眼底写真から糖尿病網膜症を眼科専門医と同等の精度で診断できたとの論文も発表されています」
ビッグデータとAIは、将来、失明者を減らし、より明るい未来をもたらすかもしれない。