「不安」は知性の証拠 逆らわずに受け入れた方がいい
新型コロナウイルス感染拡大による閉塞感は、いまだ出口が見えません。新たな変異株も登場し、不安は募るばかりです。しかし、人間は変化を嫌う動物ですから、変化が起きれば当然、不安も生じます。不安を抱くことは何もおかしいことではなく、生きている証しでもあるわけですから、自信を喪失する必要はないのです。
不安は万病のもとである――などと言われますが、実際には重要な本能です。不安や心配があるから、危険に対する準備がしやすく、日常のわずかな変化や違和感にも気が付きやすいのです。不安を必ずしも「ネガティブ」なものと捉えず、「武器」として捉え、上手に付き合っていくことも大切です。
実際、コロナに対して不安があるから、私たちは「備えあれば憂いなし」ではないですが、自分で可能な限り対策を講じたり、感染予防に努めようとする。正しく怖がるからこそ、正しい知識や情報を取り入れようと考えるわけです。「不安が強い人ほど交通事故の死亡率が下がる」といったデータもあるほどです。
ハーバード・ビジネス・スクールのブルックスの研究(2013年)では、「脳はリラックス状態以上に興奮状態にある方が、ポジティブな状態だ」と主張しています。ブルックスは、不安な状態からリラックスした状態に落ち着かせるよりも、不安な状態から興奮状態に移行した方がパフォーマンスが上がることを実証しています。