なぜ公園でくつろぐ高齢者は蚊に刺されてもかゆく感じないのか
■蚊に刺されるほど遅延反応が弱まる
小学校に上がるころまでには、蚊の唾液に対するIgEと呼ばれる抗体が作られるようになります。蚊に刺されてIgEが反応すると、皮膚の中にあるマスト細胞(肥満細胞)と呼ばれる細胞からヒスタミンなどが分泌され、痒みと腫れを引き起こします。仕組みとしては、花粉症などと同じです。ただし反応する相手(アレルゲン)が違っているわけです。
この反応は、刺されてから数分以内に起こるので、即時反応と呼ばれています。即時反応は30分もすれば治まりますが、1日か2日後には遅発反応も起こります。つまり即時と遅延の連続技で、一刺しで二度痒い思いをするわけです。
さらに年齢が上がって、蚊に刺された累積回数がどんどん増えてくると、次第にT細胞やマクロファージが慣れてきて反応しなくなり、遅延反応が弱まっていきます。そして即時反応だけになるのです。体質や、いままでにどれだけ刺されたかにもよりますが、だいたい50代から60代になるころには、遅延反応はなくなるようです。それでも即時反応は残っていますから、刺された直後から30分ぐらいは、痒さや腫れが続きます。