著者のコラム一覧
永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

ヤマカガシには毒を注入する「毒牙」がなく毒の被害は珍しい

公開日: 更新日:

 ヤマカガシが専門家のあいだで毒ヘビと認識されるようになったのは1970年代に入ってからのことです。それまでは無毒ヘビと思われていました。

 北海道と沖縄・奄美を除く日本全国の農村や山林に広く生息しており、カエルやドジョウなどをエサにしています。おとなしいヘビで、手で掴んだりしない限り、咬かまれることはありません。また咬まれても大半が無毒咬傷であるため、毒ヘビと思われてこなかったのです。しかし彼らは2系統の毒を持っており、その点でマムシやハブよりユニークです。

■エサとなるヒキガエルの毒を再利用

 ひとつは「頸腺毒」と呼ばれるもので、頸の後ろの皮下に並んでいる頸腺という器官から、毒液を噴射することができます。かなり広範囲に飛び散るので、人が無造作に掴んだりすると、眼に入る危険があります。すると激しい痛みに襲われ、涙が止まらなくなり、視力が一時的に低下します。きれいな水でよく洗って炎症を抑える目薬をさせば、1日か2日で回復します。

 頸腺毒の存在は以前から知られていましたが、それだけで毒ヘビと呼ぶわけにはいきません。ちなみに毒の成分はブフォトキシンというステロイド系の物質です。もともとエサとなるヒキガエルが持っている毒で、そのまま再利用しているのです。そのためヒキガエルがいない地域のヤマカガシの頸腺分泌物には毒が入っておらず、危険はありません。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    永野芽郁は大河とラジオは先手を打つように辞退したが…今のところ「謹慎」の発表がない理由

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  2. 7

    威圧的指導に選手反発、脱走者まで…新体操強化本部長パワハラ指導の根源はロシア依存

  3. 8

    ガーシー氏“暴露”…元アイドルらが王族らに買われる闇オーディション「サウジ案件」を業界人語る

  4. 9

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  5. 10

    内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ