病気を媒介するマダニは体重の100倍の血を吸う吸血性のダニ
ダニは分類学上、クモやサソリに近い生物とされています。世界中に2万種以上がおり、とくにイエダニの仲間が、喘息やアトピー性皮膚炎のアレルゲンとなることが広く知られています。しかし、人に直接的な被害をもたらすのはマダニ、ツツガムシ、ヒゼンダニなどに限られています。ヒゼンダニは皮膚に寄生して疥癬の原因となり、ツツガムシはツツガムシ病の病原体を媒介します。 マダニもさまざまな病気を媒介します。日本国内に限れば「ライム病」、「野兎病」、「日本紅斑熱」、「ロシア春秋脳炎」(ダニ媒介性脳炎)、「重症熱性血小板減少症」の5つです。それらの病気は項を改めて紹介します。今回はマダニの吸血について、詳しく見ていきましょう。
■日本には約50種類のマダニが生息している
マダニ類は他のダニと比べてかなり大型で(といっても体長1mmから10mm程度ですが)、外皮が硬く(指では潰せないほど)、しかもすべての種が生涯にわたって吸血性という特徴を持っています。吸血性のダニは、ほかにツツガムシくらいしかいません。つまりマダニとは吸血性のダニのことだと言って、ほぼ正解というわけです。日本には約50種類のマダニが生息しており、そのうちの約30種が人の皮膚に寄生して吸血することが知られています。