「音が聞こえること」と「言葉が聞こえること」はまったく違う
よくお客さまから「音は聞こえるけど、言葉として聞き取れない」と言われることがあります。実は音が聞こえることと、言葉が聞き取れることは、まったく異なる状態なのです。
聴力に問題があるかどうかは、ヘッドホンを装着し、聞き取れる最小の音圧レベル「最小可聴閾値」を調べることで分かります。健康診断などで行う検査です。
一方、言葉の聞き取りの能力は「語音明瞭度」と言います。「あ」「き」「し」「た」といった1音ずつの“単音”をヘッドホンから一定の速度で流し、どのくらいの音量で何個聞き取れるか、その正答率で表します。全部で20個の、大きさが違う音を聞き取ってもらうのですが、たとえば1つの音が聞き取れれば5%。20音全部聞き取れれば100%、18問なら90%と計算します。
補聴器の目指すところは、「普通の会話の音量」でその人の持っている最高の「語音明瞭度」にすることにあります。
はっきりと言葉を聞き取れる状態を「完成したジグソーパズル」に例えるなら、語音明瞭度が下がり言葉を聞き取れない状態は、パズルのピースが抜け落ちた状態と言えます。それを補聴器では不完全ながらも、できるだけ聞き取れる状態に微調整します。