コロナ収束への道<2>「ワクチン調達は民間の力を借りるべき」
インフルエンザ予防接種は毎年10~12月の3カ月間で延べ5000万~6000万人程度接種する。国内生産されたワクチンは薬の卸業者を通じ各医療機関の注文に応じて配布される。
「新型コロナワクチンでも市場原理に基づいたこの枠組みを活用していれば、東京五輪前にも接種は完了していたかもしれません」
しかし、残念ながら今回はインフルエンザワクチンとはまったく異なる流通方法が採用された。国が地方自治体ごとに本数を割り当て、それを自治体の判断で地元の医療機関に配布したり、独自の大規模接種会場用に振り分けた。そのため、接種希望者の多いエリアとそうでないエリアではワクチンの過不足が発生した。
だからといって、新しい仕組みでは医療機関が必要に応じて製薬会社から買うこともできなかった。
むろん、供給当初ではやむをえない事情もあった。新型コロナワクチンは全量海外からの輸入に頼っていたため、どのくらいの量を確保できるか不明だったこと、冷凍保存が必要など管理が難しかったこと、インフルエンザワクチンとは異なり新型コロナワクチンは無料のため感染リスクの高い医療従事者や65歳以上の優先接種が守られるか不安があったことなどだ。