子供の「新型コロナ拒食」が将来の失明をもたらす可能性
「かつて英国医学会誌に掲載された論文に、神経性食欲不振症の13人と同年齢の20人の健康な女性での両目の黄斑の厚さとその電気的活動を分析した研究がありました。黄斑とは網膜の中央にあり、細かい詳細なものを見る中心視力と光の処理を担っている場所です。幸い視機能低下は検出されませんでしたが、過食しては嘔吐するタイプの拒食症の女性は、黄斑部とそれに連なる網膜神経線維層が健康な女性より薄いと報告されたのです。おそらく神経性食思不振症による栄養障害の結果でしょう」
しかも、脳の中で視覚画像を処理するのに必要な神経伝達物質ドーパミンが起こす電気的活動も弱かったという。
「対象となった女性の平均年齢は28歳。食欲不振の期間は平均10年間ですから、食べられない人にすぐ問題が出るわけではないのでしょう。ただ、黄斑が劣化し神経活性が低下すれば、進行性の失明を招くかもしれません」