写真家・野村誠一さんは悪性リンパ腫に…ステージ4と告げられ動転、家内にお墓の相談まで
思った以上に経過がよく、3週間と言われた入院が2週間に短縮となり、以降は通院で抗がん剤治療を続けました。幸い、副作用は脱毛だけで、気持ちが悪くなったことは一度もありません。
おかげさまで寛解しましたが、再発しやすい一面があるそうなので、2カ月に1回、分子標的薬の点滴を2年ぐらい、経過観察をしていきます。
今回、入院中に思ったのは、自分の“作品集”がないと、まだ何も作品を残せてないということでした。これまで、グラビアやアイドルの写真集は依頼されて400冊以上撮影をしてきましたが、自分自身の写真集は1冊しかないことに気がつきました。振り返ればアッという間だったな、「自分の作品を真剣に考えたい!」と強烈に思ったのです。
以前は仕事を離れるとカメラを持ち歩くことはほとんどありませんでした。でも今は犬の散歩にさえ、近所でもどこに行くにもLEICAを持って行くようになりました。身近なものを撮ることも楽しくて、なんというか、死に直面して覚醒したというか、“モノ”が以前と違って見えるようになったんです。またさらに写真が好きになり、面白くなってきました!