オミクロン株は重症化リスクは低いが…ウイルス量がなかなか減らない 治療の現場から報告
「重症化率および死亡率が高かったデルタ株に比べ、ワクチン未接種のままオミクロン株に罹患した患者でも軽症であるケースが多くみられます。感染して表れる上気道症状も軽いものが多く、高熱が持続する期間もデルタ株と比べると短い傾向にある印象です。基礎疾患があるなど重症化リスクがある方や、高齢者のうち酸素吸入が必要な方に入院治療を行っていますが、高齢者でも症状が軽く元気な人が多い。しかし、高熱などの強い症状が表れないことを反映してなのか、レムデシビルなどの抗ウイルス薬で治療をしていても、鼻咽頭のウイルス量がなかなか減らないのです」
一般的に、新型コロナウイルス感染症は発症してから10日ほどで体内に抗体がつくられ回復していく。鼻咽頭の抗原定量検査で発症時に「5000(ピコグラム/ミリリットル)以上」と計測されていたウイルス量は、これまで8割以上が10日目には消失していたという。
「それが、高齢女性のオミクロン株感染者で発症6日目でも5000を超えているケースがあるなど、10日目を過ぎても600前後の数値がダラダラと続く例が多いのです。もちろん、ウイルス量が多いから強い感染力が残っているとか、逆にウイルス量が少ないから回復したと、すべてのケースで言えるわけではありません。ただ、はっきりしたデータは報告されていませんが、体内のウイルス量が300~500あると、密室空間になりやすく患者に接触して行う介護が必要な老健施設や医療機関では、さらにそこから感染を広げてしまう可能性が指摘されています。オミクロン株の場合、軽症で動ける人が多いため、認知機能が低下した高齢の患者さんでは入院中にベッドから離れて歩き回ってしまうケースも少なくありません。それだけ、医療従事者が感染を防ぐために注意すべき場面が増えているといえます」